複合自己相関法のFPGA実装
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[[ASL Wiki]]
*メンバー [#xab6941b]
-[[大和田]]
*研究の概要 [#k5d54eb6]
超音波による組織弾性イメージングの研究は体表に静圧を加えたときの組織の変形率、つまり歪み分布の画像化を行ったものであり、硬さ、軟らかさの情報が得られる。この歪み分布は、圧縮の程度に応じて変化する相対的な指標だが、組織の弾性分布を反映しており、腫瘍の検出に有用であることが期待されている。超音波診断によって得られる情報の定量性は確固としたものに飛躍しているが、同時にその情報を得るために必要となる演算量は増大し、組織弾性イメージングの実時間処理を困難にしている。
本研究では、超音波診断装置から得られる圧迫前後のRF信号から、複合自己相関法により変位演算を行って得られた変位分布の空間微分を行って歪み分布を検出するアルゴリズムのハードウェア実装を行い、30fpsの実時間処理に必要な演算速度を実現する。このハードウェアにより、特別な知識がない人でも、実時間によるスムーズな腫瘍検出を行うことが可能になる。
**新規性 [#pc73ec32]
体表から静圧を加える手法による悪性腫瘍診断(主に乳癌、前立腺癌など)に複合自己相関法を適用し、実時間処理を可能にした事例(日立メディコより製品化)がある。本研究は、血管内超音波検査に複合自己相関法を適用するという位置付けであり、実時間診断を可能にしたという事例はない。
*現在の状況 [#hb280bfd]
**発表など [#te1f5dcf]
CIT2008にて発表。(2008年7月)
**SystemC記述 [#c6ab23b7]
各演算に必要な精度を与えるような固定小数点演算を用いた設計を行った。SystemCのシミュレーションから全体の必要クロックサイクルを算出し、それが所望の周波数(100MHzに設定)で30fpsの実時間処理が可能であるということを検証した。
**SFL記述 [#nb49d653]
SystemC記述から、SFL記述でハードウェアの設計を行った。sfl2vlを用いてVerilog-HDLに変換し、シミュレーションを行い、回路の正しさを検証した。一部、SystemC記述の演算結果と異なる部分(丸め誤差に似た状況)もあったが、最終的に算出されるひずみパワーにはそれほど大きな誤差は生じなかった。ここでの誤差が許容範囲内かどうかを調べるには、専門家の判断を仰ぐ必要があり、実現が難しい。ISEによる合成結果では、ターゲットデバイスであるVirtex-4 FX100のリソースに収まることと、最大動作周波数が122MHzであることを確認した。
**画像の品質評価 [#m62711ce]
オリジナルのプログラムによる倍精度演算から得られた結果と、SystemC記述でデザインされたハードウェアのシミュレーションから得られた結果を用いて生成される画像を使用して、PSNR(Peak-Signal to Noise Ratio)を用いた客観評価を行った。各フレームのPSNRの平均値が30dB以上得られたので腫瘍検出に有用な画像診断が可能であると考えられる。
***PSNR(Peak-Signal to Noise Ratio) [#q2421751]
#texvc(PSNR[dB] = 10\log_{10}\frac{255^2}{MSE});
***MSE(平均二乗誤差) [#a553f3fa]
#texvc("MSE = \frac{1}{MN}\sum^{M-1}_{m=0}\sum^{N-1}_{n=0}([P(m,n)-P^\prime(m,n)]^2)");
**[[数式の意味の考察>複合自己相関法のFPGA実装/数式の意味の考察]] [#g1d6c9f6]
別ページにまとめます。
**超音波診断とは [#i3d1e989]
診断対象に超音波を送信したときの反射波を観測して、そのエコー波の到着時間(位相差)とエコー振幅をデータにする。エコー振幅は音響インピーダンス(弾性波の伝わりにくさ)の変化を反映。
相対的な違いを判断する材料にはなるが、物体固有の物理特性を反映するわけではない。
*現在の課題 [#p91f27ba]
**画像の品質評価に関する問題 [#f6295fcf]
-現在はPSNRを使用して評価を行っている。評価の対象になる画像は、オリジナルのプログラムによる倍精度演算から得られた結果と、SystemCでデザインされた固定小数点演算(精度は演算に必要なビット数だけ確保)から得られた結果を用いて生成される画像になる。しかし、PSNRはこのような医療用画像の評価の尺度として、正しいのかどうかの判断が出来ていない。
--専門医師らによる主観評価を用いるべきなのかもしれないが、それは環境的に難しい。客観評価としてPSNRを使わざるを得ない状況。
-SNRを用いて評価している論文発見。
--新田 尚隆, 椎名 毅, ``超音波を用いた組織弾性イメージングに関する研究,'' 筑波大学大学院博士課程工学研究科博士論文, 2000.
**演算の精度に関する問題 [#wdfe2fcb]
-現在与えられているSystemC記述の固定小数点演算の精度が適切なのかどうか。精度をもう少し落とすことが出来るのならば、回路面積を減少させることが出来る。
--演算精度を変化させ、それぞれの状態でPSNRによる評価を行う。また、演算精度の変化に伴う回路面積を調べる。
**今後の課題 [#kb44f98c]
-数式の意味を紐解く。
-精度検証。
-制度に伴う回路規模の確認。
-アルゴリズムの近似、簡略化。
-メモリの使い方の確認。
***今後の予定 [#v0c77ad6]
+数式の意味を紐解く。
+各数式に与えられている精度を調べる。
*最終目標 [#kdb24937]
各演算に与えた固定小数点の精度の評価を行う。評価式にはPSNRを用いて検証を行う。また、演算精度の変化に伴う回路面積を調べる。
*発表状況 [#md01931b]
-Daisuke Ohwada, Yuichi Okuyama, and Kenichi Kuroda, "Implementation of a Combined Autocorrelation Method for Real-time Tissue Elasticity Imaging on FPGA," IEEE 8th International Conference on Computer and Information Technology, pp.891-897, Sydney, Australia, July 2008.
-Daisuke Ohwada, "Implementation of a Combined Autocorrelation Method for Real-time Tissue Elasticity Imaging on FPGA," Bachelor thesis, Mar. 2008.
-大和田大輔, 奥山祐市, 黒田研一, "実時間組織弾性イメージングのための複合自己相関法のFPGA実装," 第31回パルテノン研究会, pp.45-50, Dec. 2007.
*参考文献 [#fb57d639]
-遠藤 浩幸, 椎名 毅, ``血管内エコー法による冠動脈不安定プラークの評価法の開発,'' 筑波大学大学院博士課程工学研究科修士論文, 2005.
--&ref(200335262-1.pdf);
*コメント [#n97de62e]
何か意見や指摘がありましたら、よろしくお願い致します。
#comment
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*メンバー [#xab6941b]
-[[大和田]]
*研究の概要 [#k5d54eb6]
超音波による組織弾性イメージングの研究は体表に静圧を加えたときの組織の変形率、つまり歪み分布の画像化を行ったものであり、硬さ、軟らかさの情報が得られる。この歪み分布は、圧縮の程度に応じて変化する相対的な指標だが、組織の弾性分布を反映しており、腫瘍の検出に有用であることが期待されている。超音波診断によって得られる情報の定量性は確固としたものに飛躍しているが、同時にその情報を得るために必要となる演算量は増大し、組織弾性イメージングの実時間処理を困難にしている。
本研究では、超音波診断装置から得られる圧迫前後のRF信号から、複合自己相関法により変位演算を行って得られた変位分布の空間微分を行って歪み分布を検出するアルゴリズムのハードウェア実装を行い、30fpsの実時間処理に必要な演算速度を実現する。このハードウェアにより、特別な知識がない人でも、実時間によるスムーズな腫瘍検出を行うことが可能になる。
**新規性 [#pc73ec32]
体表から静圧を加える手法による悪性腫瘍診断(主に乳癌、前立腺癌など)に複合自己相関法を適用し、実時間処理を可能にした事例(日立メディコより製品化)がある。本研究は、血管内超音波検査に複合自己相関法を適用するという位置付けであり、実時間診断を可能にしたという事例はない。
*現在の状況 [#hb280bfd]
**発表など [#te1f5dcf]
CIT2008にて発表。(2008年7月)
**SystemC記述 [#c6ab23b7]
各演算に必要な精度を与えるような固定小数点演算を用いた設計を行った。SystemCのシミュレーションから全体の必要クロックサイクルを算出し、それが所望の周波数(100MHzに設定)で30fpsの実時間処理が可能であるということを検証した。
**SFL記述 [#nb49d653]
SystemC記述から、SFL記述でハードウェアの設計を行った。sfl2vlを用いてVerilog-HDLに変換し、シミュレーションを行い、回路の正しさを検証した。一部、SystemC記述の演算結果と異なる部分(丸め誤差に似た状況)もあったが、最終的に算出されるひずみパワーにはそれほど大きな誤差は生じなかった。ここでの誤差が許容範囲内かどうかを調べるには、専門家の判断を仰ぐ必要があり、実現が難しい。ISEによる合成結果では、ターゲットデバイスであるVirtex-4 FX100のリソースに収まることと、最大動作周波数が122MHzであることを確認した。
**画像の品質評価 [#m62711ce]
オリジナルのプログラムによる倍精度演算から得られた結果と、SystemC記述でデザインされたハードウェアのシミュレーションから得られた結果を用いて生成される画像を使用して、PSNR(Peak-Signal to Noise Ratio)を用いた客観評価を行った。各フレームのPSNRの平均値が30dB以上得られたので腫瘍検出に有用な画像診断が可能であると考えられる。
***PSNR(Peak-Signal to Noise Ratio) [#q2421751]
#texvc(PSNR[dB] = 10\log_{10}\frac{255^2}{MSE});
***MSE(平均二乗誤差) [#a553f3fa]
#texvc("MSE = \frac{1}{MN}\sum^{M-1}_{m=0}\sum^{N-1}_{n=0}([P(m,n)-P^\prime(m,n)]^2)");
**[[数式の意味の考察>複合自己相関法のFPGA実装/数式の意味の考察]] [#g1d6c9f6]
別ページにまとめます。
**超音波診断とは [#i3d1e989]
診断対象に超音波を送信したときの反射波を観測して、そのエコー波の到着時間(位相差)とエコー振幅をデータにする。エコー振幅は音響インピーダンス(弾性波の伝わりにくさ)の変化を反映。
相対的な違いを判断する材料にはなるが、物体固有の物理特性を反映するわけではない。
*現在の課題 [#p91f27ba]
**画像の品質評価に関する問題 [#f6295fcf]
-現在はPSNRを使用して評価を行っている。評価の対象になる画像は、オリジナルのプログラムによる倍精度演算から得られた結果と、SystemCでデザインされた固定小数点演算(精度は演算に必要なビット数だけ確保)から得られた結果を用いて生成される画像になる。しかし、PSNRはこのような医療用画像の評価の尺度として、正しいのかどうかの判断が出来ていない。
--専門医師らによる主観評価を用いるべきなのかもしれないが、それは環境的に難しい。客観評価としてPSNRを使わざるを得ない状況。
-SNRを用いて評価している論文発見。
--新田 尚隆, 椎名 毅, ``超音波を用いた組織弾性イメージングに関する研究,'' 筑波大学大学院博士課程工学研究科博士論文, 2000.
**演算の精度に関する問題 [#wdfe2fcb]
-現在与えられているSystemC記述の固定小数点演算の精度が適切なのかどうか。精度をもう少し落とすことが出来るのならば、回路面積を減少させることが出来る。
--演算精度を変化させ、それぞれの状態でPSNRによる評価を行う。また、演算精度の変化に伴う回路面積を調べる。
**今後の課題 [#kb44f98c]
-数式の意味を紐解く。
-精度検証。
-制度に伴う回路規模の確認。
-アルゴリズムの近似、簡略化。
-メモリの使い方の確認。
***今後の予定 [#v0c77ad6]
+数式の意味を紐解く。
+各数式に与えられている精度を調べる。
*最終目標 [#kdb24937]
各演算に与えた固定小数点の精度の評価を行う。評価式にはPSNRを用いて検証を行う。また、演算精度の変化に伴う回路面積を調べる。
*発表状況 [#md01931b]
-Daisuke Ohwada, Yuichi Okuyama, and Kenichi Kuroda, "Implementation of a Combined Autocorrelation Method for Real-time Tissue Elasticity Imaging on FPGA," IEEE 8th International Conference on Computer and Information Technology, pp.891-897, Sydney, Australia, July 2008.
-Daisuke Ohwada, "Implementation of a Combined Autocorrelation Method for Real-time Tissue Elasticity Imaging on FPGA," Bachelor thesis, Mar. 2008.
-大和田大輔, 奥山祐市, 黒田研一, "実時間組織弾性イメージングのための複合自己相関法のFPGA実装," 第31回パルテノン研究会, pp.45-50, Dec. 2007.
*参考文献 [#fb57d639]
-遠藤 浩幸, 椎名 毅, ``血管内エコー法による冠動脈不安定プラークの評価法の開発,'' 筑波大学大学院博士課程工学研究科修士論文, 2005.
--&ref(200335262-1.pdf);
*コメント [#n97de62e]
何か意見や指摘がありましたら、よろしくお願い致します。
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