佐藤/解法
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開始行:
//研究室限定
[[佐藤/学習]]
**陰解法と陽解法 [#c4c37ca3]
ある物体に荷重が負荷され、時々刻々と変化していくとき、物体の変化の様子(変位)を計算する手法の違いを表わす言葉です。&br;
物体に荷重が作用した瞬間を時刻0(ゼロ)とします。現実にはその後、時間が経過するにつれて物体は連続的に変形していくのですが、数値計算では、時刻0からスタートして、ある時間増分Δtごとに時間を区切って状態を計算していきます。つまり時刻tからΔtだけ未来の状態を求め、さらに2Δt、3Δt、...というように、順に先の状態を求めていくのです。
&br;
&br;
**陰解法の手順 [#sfb17460]
陰解法では、まず時刻t+Δtにおけるつりあい方程式をたてます。&br;
そしてこのつりあい方程式を満足する変位を収束計算によって求めます。以下に手順の概略を示します。
(1)時刻t+Δtでのつりあい方程式を考えます。ここで求めたい変位を仮にUit+Δtとします。
Ft+Δt−Qt+Δt = 0 , ただしQt+Δt = KnUit+Δt
この式の意味は、「時刻t+Δtにおける外力Ft+Δtと、物体内に発生した内力Qt+Δtがつりあっているということです。
ここでKnは、剛性マトリックス(バネ定数のようなもの)です。
(2)上式において、変位Uit+Δtは仮のものなので、実際は上の式は完全につりあうことがなく、誤差Riが生じます。
つまり上式の右辺は完全にはゼロとならず、以下のようになります。
Ft+Δt−Qt+Δt = Ri
(3)誤差Riがゼロとなるよう仮の変位Uit+ΔtをUi+1t+Δtと修正して再度つりあい方程式に代入します。
(4)上記(2)、(3)の手順を繰り返し、誤差が充分小さくなった段階で得られた変位を真の値とします。
陰解法の重要なポイントのひとつは、時間増分Δtの大きさに制限がない(自由に設定できる)ということです。
&br;
&br;
**陽解法の手順 [#l6c443e1]
陽解法は、時刻tの結果から時刻t+Δtの状態を予測します。
(1)時刻tにおいて以下の運動方程式を考えます。
MAt = Ft−Qt
ここでMは質量マトリックス、Atは加速度、Ftは外力、Qtは内力です。この式は
質量×加速度=力
となっており、Newtonの運動方程式そのものであることがわかります。
(2)上式において、右辺の力の項を質量で割り算することにより、時刻tでの加速度Atが求められます。
(3)次式により、現在の時刻tでの加速度と過去の時刻t-Δt/2での速度からΔt/2だけ未来の速度Vt+Δt/2が、また現在の時刻tでの変位と、今求めた時刻t+Δt/2での速度からΔtだけ未来の変位Ut+Δtが求められます。
Vt+Δt/2 = Vt-Δt/2 + ΔtAt
Ut+Δt = Ut + ΔtVt+Δt/2
このように、陽解法では収束計算を行なうことなく、各時刻での変位を求めていきます。
ただし陰解法と異なり、陽解法では時間増分Δtはある安定条件(Courant条件)を満たすように決めなければならず、勝手に大きくすることができません。
&br;
&br;
**陰解法と陽解法の比較 [#p7bef0cd]
|特徴|陰解法|陽解法|
|得意な領域|静的あるいは低速な問題|動的あるいは高速な問題|
|収束計算|あり|なし|
|安定条件|無条件に安定|Courant条件|
|主な適用分野|静的応力解析|応力伝播解析|
||クリープ解析|衝撃・落下解析|
||塑性加工解析|塑性加工解析|
||スプリングバック解析|機構解析|
||自重変形解析|地震応答解析|
|時間増分の大きさ|大きい|小さい|
終了行:
//研究室限定
[[佐藤/学習]]
**陰解法と陽解法 [#c4c37ca3]
ある物体に荷重が負荷され、時々刻々と変化していくとき、物体の変化の様子(変位)を計算する手法の違いを表わす言葉です。&br;
物体に荷重が作用した瞬間を時刻0(ゼロ)とします。現実にはその後、時間が経過するにつれて物体は連続的に変形していくのですが、数値計算では、時刻0からスタートして、ある時間増分Δtごとに時間を区切って状態を計算していきます。つまり時刻tからΔtだけ未来の状態を求め、さらに2Δt、3Δt、...というように、順に先の状態を求めていくのです。
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**陰解法の手順 [#sfb17460]
陰解法では、まず時刻t+Δtにおけるつりあい方程式をたてます。&br;
そしてこのつりあい方程式を満足する変位を収束計算によって求めます。以下に手順の概略を示します。
(1)時刻t+Δtでのつりあい方程式を考えます。ここで求めたい変位を仮にUit+Δtとします。
Ft+Δt−Qt+Δt = 0 , ただしQt+Δt = KnUit+Δt
この式の意味は、「時刻t+Δtにおける外力Ft+Δtと、物体内に発生した内力Qt+Δtがつりあっているということです。
ここでKnは、剛性マトリックス(バネ定数のようなもの)です。
(2)上式において、変位Uit+Δtは仮のものなので、実際は上の式は完全につりあうことがなく、誤差Riが生じます。
つまり上式の右辺は完全にはゼロとならず、以下のようになります。
Ft+Δt−Qt+Δt = Ri
(3)誤差Riがゼロとなるよう仮の変位Uit+ΔtをUi+1t+Δtと修正して再度つりあい方程式に代入します。
(4)上記(2)、(3)の手順を繰り返し、誤差が充分小さくなった段階で得られた変位を真の値とします。
陰解法の重要なポイントのひとつは、時間増分Δtの大きさに制限がない(自由に設定できる)ということです。
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**陽解法の手順 [#l6c443e1]
陽解法は、時刻tの結果から時刻t+Δtの状態を予測します。
(1)時刻tにおいて以下の運動方程式を考えます。
MAt = Ft−Qt
ここでMは質量マトリックス、Atは加速度、Ftは外力、Qtは内力です。この式は
質量×加速度=力
となっており、Newtonの運動方程式そのものであることがわかります。
(2)上式において、右辺の力の項を質量で割り算することにより、時刻tでの加速度Atが求められます。
(3)次式により、現在の時刻tでの加速度と過去の時刻t-Δt/2での速度からΔt/2だけ未来の速度Vt+Δt/2が、また現在の時刻tでの変位と、今求めた時刻t+Δt/2での速度からΔtだけ未来の変位Ut+Δtが求められます。
Vt+Δt/2 = Vt-Δt/2 + ΔtAt
Ut+Δt = Ut + ΔtVt+Δt/2
このように、陽解法では収束計算を行なうことなく、各時刻での変位を求めていきます。
ただし陰解法と異なり、陽解法では時間増分Δtはある安定条件(Courant条件)を満たすように決めなければならず、勝手に大きくすることができません。
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**陰解法と陽解法の比較 [#p7bef0cd]
|特徴|陰解法|陽解法|
|得意な領域|静的あるいは低速な問題|動的あるいは高速な問題|
|収束計算|あり|なし|
|安定条件|無条件に安定|Courant条件|
|主な適用分野|静的応力解析|応力伝播解析|
||クリープ解析|衝撃・落下解析|
||塑性加工解析|塑性加工解析|
||スプリングバック解析|機構解析|
||自重変形解析|地震応答解析|
|時間増分の大きさ|大きい|小さい|
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